
九十歳。何がめでたい
佐藤愛子
小学館 / 2016-08-06
この本について
最近、気づけば「覚悟ってどうやって持つんだろう」とか「振り返ると、歳月にいろんな気持ちを流されてきたな」とか、そんなぼんやりした不安を抱えることが増えました。忙しさで考えるのを後回しにしていると、何となく気力まで薄まっていく感覚があって、でも気合いでどうにかする話でもないんですよね。 佐藤愛子さんの『九十歳。何がめでたい』は、そういう“うまく言語化できない疲れ”みたいなものに、優しく笑いながら切れ味よく効いてきます。たとえば、歳月が覚悟をなし崩しにしてしまうという指摘は、自分でも気づかないうちに諦め癖がついていく感覚を言い当てているし、考えない生活が依存心を生むという一言は、日常の惰性にちゃんと向き合おうと思わせてくれます。悪口だって、元気を取り戻すための心の活性化なら必要でいい、というあたりの力の抜け方も、変に道徳で縛られてきた気持ちをほぐしてくれました。 何より、著者が語る「覚悟」は、失敗しないための固い決意ではなく、後悔や苦悩が来ても折れずに生きていくための腹づもりなんですよね。北海道・浦河町で過ごした日々の話や、恋と愛の違いに触れるくだりも含めて、人生の重さとおかしさを同時に受け止めていくような視点が、静かに背中を押してくれます。 今の自分を責めすぎず、でも流されすぎずにいたい人に特に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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