
日本的霊性 完全版 (角川ソフィア文庫)
鈴木 大拙
KADOKAWA / 2010-03-25
この本について
最近、物事をどう捉えていいのか分からない瞬間が増えている気がします。頭では割り切りたいのに、心のどこかでうまく折り合いがつかない。対立する考えの間でずっと揺れていて、どちらかに決めれば楽なのに、決めきれないまま立ち止まってしまう。そんな感覚を抱えたまま日々を続けている人は多いと思います。僕もその一人です。 鈴木大拙の「日本的霊性」を読んで感じたのは、二つのものが対立したまま終わらず、互いに入り込み合う視点の存在でした。精神と物質、個と超個のような、大きく噛み合わないはずの領域にも、実は行き来できる場所がある。そのことを、抽象的に語るのではなく、歴史や生活感覚に根ざして説明してくれるので、読んでいるうちに「どちらかを選ばなくてもいい」という身の置き方がゆっくり見えてきます。注意力そのものが精神だという話も、日々の迷いをどう扱うかのヒントになりました。 そして何より、日本の思想や宗教を語りながらも、過去を理想化せず、現在の自分たちの感覚にどうつながるかを淡々と追ってくれる点がありがたい。浄土や禅の話も、特別な修行の世界というより、行き詰まったときに人がどんなふうに自分を手放していくのか、そのリアルな感覚に近いものとして読むことができます。 自分の思考の癖や、割り切れなさの扱い方に少しでも手がかりがほしい人には、静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの54%が集中しています。
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