
現代思想 2017年3月臨時増刊号 総特集=人類学の時代
中沢新一, 山極寿一, and Ph・デスコラ
この本について
日常の中で、同じ言葉を使っているのに、まったく話が通じない瞬間ってありますよね。相手が間違っているというより、そもそも見えている世界が違うんじゃないか……と感じるあのモヤモヤ。仕事でも、人間関係でも、説明の仕方ひとつで平行線になることがあって、自分の前提がどれほど偏っているのか分からなくなることがあります。 この『人類学の時代』は、その行き詰まりを無理やり突破させるような派手さはありませんが、「世界はひとつではなく、複数の現実が同時に存在している」という前提を静かに置き直してくれます。例えば、人間とジャガーの同じ“食べる”を、あえて等しく扱いながらズレを自覚するという発想。これは、異なる価値観同士の会話にもそのまま応用できて、相手を自分の土俵に引きずり込まずに向き合う感覚がつかめます。また、人間が単体の存在ではなく、微生物や道具、人との関係に包まれた「社会身体」として描かれることで、自分というものの輪郭を少し広く考えられるようになります。孤立して考え込むより、環境ごと自分を見直すヒントが拾えるはずです。 正解を求めるより、世界の重なり方を丁寧に見たい人に刺さる一冊です。自分が見ている世界が「すべてではない」と一度受け入れてみるだけで、日常の衝突の意味が少し変わってくると思います。
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