
岳飛伝 二 飛流の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2016-12-21
この本について
日々働いていると、「自分はなにを拠り所に動いているんだろう」とふと立ち止まる瞬間がありますよね。志とか使命とか言われてもピンとこないし、かといって全く無いわけでもない。そのあいだで揺れる感じ、けっこうしんどいものです。 『岳飛伝 二 飛流の章』を読んでいて、刺さる人はここに刺さるんだろうな、と思いました。志を声高に語る物語ではなく、むしろ「志って、人の数だけ形が違う」「言葉にしなくても伝わるものがある」という描かれ方をしている。笛ひとつで語り合った親子のように、行動の裏にある静かな気持ちをすくい取ってくれるんです。負けを抱えたまま生き続ける感覚や、誰かの死に縛られて歩く人間の重さも丁寧で、読んでいて妙に現実に引き寄せられます。 特に仕事で迷っていると、どうしても「明確な軸を持たなきゃ」と思いがちですが、この本では逆に、軸はひとりひとり違ってよくて、そのどこかが重なれば十分だ、と語りかけてくる。志を持ち上げすぎない一方で、人がなにかに縛られて生きてしまう弱さも否定しない。そのバランスが、読んだ後の呼吸を少しだけ楽にしてくれます。 「真面目に生きようとしているのに、自分の芯がどこにあるかわからない」と感じている人には、静かに効くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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