
卍
谷崎 潤一郎
オリオンブックス / 2017-08-21
この本について
人間関係で、自分でもよく分からん感情に振り回される時ってありますよね。相手を信じたいのに不安になったり、頼りたいのに強がったり、嫉妬と愛情がごちゃ混ぜになって暴走したり。頭では整理できてるつもりでも、感情のほうが勝手に走ってしまうあの感じ、僕もけっこう心当たりがあります。 谷崎潤一郎の「卍」を読むと、その“ぐちゃぐちゃのまま進んでしまう心”が、もう遠慮なしに露わになります。抜粋を見れば分かる通り、誰かに捨てられまいと必死に縋ったり、優位に立ちたいだけで相手を操ったり、嫉妬と依存が混ざった誓約書を交わしたり、普通なら理性的に否定したくなる感情が、むしろ正直な本音として描かれるんです。読んでいて怖いのに、どこか「ああ、こういう弱さって確かにあるよな」と思ってしまう。 この作品が効いてくるのは、自分の中の“醜さごと抱えている部分”を見つけた時かもしれません。恋愛でも仕事でも、人に依存したくないと思いつつ、依存してしまう矛盾。優しくしたい気持ちの裏で、自分だけ傷つきたくないという打算。そういう曖昧な本音を、作品が代わりに引き受けてくれる感じがあるんです。 特に、誰かを好きになると自分の輪郭が揺らぐ感覚を知っている人には刺さると思います。いい意味でも悪い意味でも、人間の心の振れ幅をそのまま見せつけてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
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