
世界神話学入門 (講談社現代新書)
後藤明
講談社 / 2017-12-12
この本について
日々仕事に追われていると、自分が見ている世界の枠そのものが狭くなっている気がしませんか。価値観の違う相手に出会うたびに「なんでこうなるんだろう」とモヤっとするけれど、答えは出ないまま。僕もずっとそこで足踏みしていました。 『世界神話学入門』を読んで驚いたのは、人類が別々の大陸に散らばったあとも、似たような物語を作り続けてきたという事実でした。太陽を神として扱う感覚や、天空がかつてもっと近かったという話、あるいは死者の国が海の向こうにあるという観念。文化が違っても人はこう考えるのか…と気づいた瞬間、相手の言動を「その人のクセ」だけで説明する癖が少し揺らぎます。人間の根っこにある共通の思考パターンを知ると、今目の前で起きている摩擦の見え方が変わるんですよね。 もう一つ、この本が効いたのは、物語の“生まれ方”が具体的に描かれていたことです。たとえば供犠の習慣が作物神話になっていく過程や、星座が妊娠期間を測る道具になっていたという話。神話ってふわふわした象徴の世界だと思っていたけれど、実際には生活や環境から積み上がった「人間の思考の履歴」なんだとわかる。抽象的な世界観じゃなく、具体的な生活から物語が立ち上がる感じが、日常の判断にもそのまま応用できるんです。 文化や価値観の違いに疲れたとき、「人はそもそもどう世界を理解してきたのか」を少し俯瞰したい人に刺さる本だと思います。
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