
戦争と農業(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)
藤原辰史
集英社 / 2017-10-11
この本について
仕事でも生活でも、「自分が信じている仕組みって、本当に大丈夫なんだろうか」とふと立ち止まることがあります。便利さに慣れきって、気づけば判断の根拠が見えなくなる瞬間。農業や食の話って自分と距離があるようで、実はその不安の正体にいちばん近いテーマなのかもしれません。 『戦争と農業』は、肥料や農薬、機械といった技術が社会をどう変えてきたのかを丁寧にたどりながら、「技術は人間そのものを変えてしまう」という視点を突きつけてきます。トラクターが戦車へ転用された歴史や、植物工場が軍需から始まっていた事実、水俣や南方進出と肥料の関係など、一見つながりそうもない出来事が一本の線で結ばれていく感覚があります。それを知ると、普段の食卓の裏側や、当たり前だと思っていた仕組みがまったく違う顔に見えてきます。 特に刺さったのは、「耕作技能の喪失」という言葉が象徴するように、人間から技術へと主体が移り、いつの間にか仕組みのほうに人が従わされていく流れに気づけることでした。生きものの死骸を食べて生きる存在である自分が、巨大な歴史や産業の流れの中に置き直されると、日々の選択の重みが少しだけ違って感じられます。 仕組みの中にいる自分の位置を知りたい人、便利さに疑問が湧いたまま放置している人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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