
帝国大学 近代日本のエリート育成装置 (中公新書)
天野郁夫
中央公論新社 / 2017-03
この本について
最近、「日本の大学ってなんでこういう形なんだろう」とか、「研究と教育がどう噛み合ってるのかよく分からない」というモヤモヤを抱える人、多い気がします。仕事で専門職の育成に関わっていたり、自分自身が学び直しを考えていると、制度の“根っこ”が気になってくるんですよね。 この本を読んで驚いたのは、帝国大学って最初から「国家の要請に応えるための仕組み」としてデザインされていて、その結果として研究よりも官僚養成が優先されたり、地方に大学をつくるにも寄附金が必須だったり、今につながる構造が明治期からずっと続いているという事実でした。たとえば、研究環境が整わず教授が海外留学で“更新”され続ける仕組みや、専門学校や高等学校との棲み分けが偶然ではなく政策の産物だったことを知ると、今の大学の姿が少し立体的に見えてきます。 僕自身、教育や研究の現場で「なぜこうなるのか」を考えるたびに歴史的な背景に行き当たるのですが、この本はその因果関係を淡々と示してくれるので、制度への不満が一段落して「なるほど、こういう設計思想だったんだ」と視点が変わりました。現在の大学改革や人材育成の議論を見る時の“地図”が手に入る感覚に近いです。 今の高等教育の形に違和感がある人、制度の裏側を知ってから自分の選択を考えたい人には特に刺さると思います。
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