
VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学 (文春e-book)
ジェレミー・ベイレンソン and 倉田 幸信
文藝春秋 / 2018-08-08
この本について
仕事で新しい技術に触れても、「結局これは何が変わるのか」とか、「便利さ以上の意味ってあるのかな」といった曖昧なモヤモヤが残ることがあります。VRもまさにそうで、触れた瞬間は面白いのに、日常とどうつながるのかが見えづらいまま放置してきた…という人は多い気がします。僕自身、この本を読むまで「映像が立体になっただけ」くらいに思っていました。 この本が面白いのは、VRを“技術の話”ではなく、“経験の作り方が変わる話”として説明してくれるところです。例えば、視線の収束や焦点調節といった身体の仕組みをベースに、なぜ没入が起きるかが分かると、VR酔いの理由も腑に落ちます。さらに、視点交換が共感にどう作用するのか、逆にどんな体験はVRに向かないのかなど、実験と失敗の話がたっぷりあって、技術の限界も含めて現実的に理解できます。北京の紫禁城から深海まで、一瞬で自分の周りに呼び出される“距離感の喪失”の描写は、VRを使ったことがある人なら「確かに」となるはずです。 VRを無条件に礼賛する本ではないので、「自分の生活や仕事にどうつながるのか」を考えたい人ほど読みやすいと思います。新しいメディアの可能性に興味はあるけれど、過度な期待や幻想には距離を置きたい──そんなタイプの人に刺さる一冊です。
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