
帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 (角川書店単行本)
鷹匠 裕
累計読者数3
平均ハイライト数 2.7件/人
star総合評価 29/100
boltライト読書型
この本について
仕事で成果を出そうとすると、「やっぱり勝ち続けないと意味がないのかな」とか、「競争を避けると置いていかれるんじゃないか」という焦りがふっと顔を出すことがあります。頭では分かっていても、心のどこかがその価値観に引っ張られる感じ、僕もよくあります。 『帝王の誤算』を読んでいて刺さったのは、まさにその“引っ張られ方”がどれだけ強烈に人を動かすのかが、具体的な場面で描かれているところでした。トップ企業を握ることがすべて、という城田の仕事観は極端に見えるけれど、どこか自分の中にも同じ匂いがある。接待ひとつをとっても、相手の心をつかむためにどこまでやるべきかの線引きに迷うことってあるけれど、この物語ではその価値観が行き過ぎるとどうなるかが生々しい形で現れてきます。そして、成功のために積み上げてきたはずの行動が、別の文脈では一気に裏目に転じる。その落差の描かれ方が、この本の現実味につながっているように思います。 競争を避けたいわけじゃない。でも、勝つためのルールだけを握りしめていると何か大事なものを落とすんじゃないか。そんな不安を抱えたまま働いている人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
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