
スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質
ペニー・ルクーター, ジェイ・バーレサン, and 小林力
この本について
最近、身の回りの出来事が「点のまま」終わってしまう感覚がありませんか。ニュースを読んでも、仕事で判断していても、その背景にどんな流れがあったのかまでは追いきれない。自分もよくそこでつまずきます。 この本は、歴史を動かしたのが“国”でも“英雄”でもなく、たった一つの化学物質だった、という視点をくれるところが面白いです。ナツメグがペスト除けとして珍重され、胡椒や砂糖が奴隷貿易を拡大させ、セルロースが産業革命の裏側を支えていた。自分が学校で習ってきた歴史の輪郭が、分子というミクロの話からつながっていく感覚があります。仕事で考えごとをするときも、「目の前の現象の裏には、意外な小さな要因があるかも」と思えるようになりました。 もう一つ刺さったのは、化学が人の暮らしをどれだけ動かしてきたかを淡々と描いているところです。CFCが“便利さ”ゆえに地球を傷つけたり、染料の副産物から医薬品の道が開けたり、良い悪いだけでは割り切れない話が多い。判断に迷ったときに「物事には必ず別の面がある」という当たり前を思い出させてくれます。 歴史や科学に強くなくても大丈夫で、「世界の成り立ちをもう少し立体的に見たい人」にしっくりくる一冊だと思います。
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