
社会的共通資本 (岩波新書)
宇沢 弘文
東京大学出版会 / 19940501
この本について
日々ニュースを見ていると、「そもそもこの社会はどこに向かっているんだろう」と、ふと立ち止まることがあります。景気の波に振り回され、人の働き方も街の空気も落ち着かない。自分ひとりの努力ではどうしようもない構造の存在に気づいてしまう瞬間があるんですよね。 宇沢弘文『社会的共通資本』は、そのモヤモヤに少し違う角度から光を当ててくれます。資本主義か社会主義か、という二項対立の外側に「制度」をどうつくるかという視点を置き、企業のあり方から農業政策、教育や医療までをひとつのつながりとして見る。たとえば、企業を単なる利潤調整の仕組みではなく、時間を通じてアイデンティティを持つ「有機的な主体」と捉える話は、自分の働き方を考えるときに意外と効きました。また、ゆたかな社会の条件を淡々と列挙するくだりは、派手さはないのに「結局ここが崩れると全部しんどくなる」という感覚を言語化してくれます。 読みながら、自分が抱えていた問題は経済の大きな枠組みの中に埋まっていたんだな、と少し俯瞰できるようになりました。社会の仕組みを“善悪”ではなく“設計”として考えたい人に刺さる本だと思います。
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