
経済学の考え方 (岩波新書)
宇沢 弘文
東洋経済新報社 / 1989
この本について
経済の話を聞くたびに、「結局どの理論を信じればいいんだろう」とか、「今の議論って、現実とちゃんとつながってるのか?」といったモヤモヤが残ること、けっこうあります。仕事でも、数字だけを追う判断と、現場の実感がズレている場面に出会うと、何を手がかりに考えればいいのか迷ってしまいます。 宇沢弘文『経済学の考え方』は、その迷いを無理に晴らす本ではなくて、「どこに立って経済を見るべきか」を静かに整えてくれる本でした。抜粋にあるように、経済理論が置く前提がどれほど現実の制度や人間の行動から乖離しているか、あるいは政策の議論がどんな価値観を隠し持っているのかを、歴史と思想の流れの中で丁寧に見せてくれます。たとえば、投資と貯蓄が常に一致すると仮定した瞬間に何が見えなくなるのかとか、自由貿易がなぜ一部の国や階層にだけ都合よく作用するのか、といった“ほぐれにくい前提”に手を入れてくれる感じです。 読み終えると、経済ニュースの言葉をそのまま飲みこむのではなく、「その前提、現実に合ってる?」と一度立ち止まれるようになります。自分の仕事でも、効率や最適化といった言葉を振りかざす前に、そこにいる人の動きや制度の形を確かめたくなる。そんな視点の変化がありました。 特に、理論と現実のズレに違和感を覚えている人に刺さる一冊だと思います。
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