
昼休み、またピンクサロンに走り出していた
素童
文友舎 / 2018-11-10
この本について
性にまつわる話題って、興味はあるのにどこまで踏み込んでいいのか自分でもよくわからなくなることがあります。欲望と理性のあいだで揺れたり、「普通」って何だろうと考え込んだり、どこかで自分をごまかしてしまったり。そういう曖昧な感じを抱えたまま大人になった人には、この本の視点がけっこう効いてきます。 『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』は、風俗という題材を使いながらも、決して“経験談の暴露”にとどまらず、読者が普段言語化しづらい感情を淡々と照らしてくれます。たとえば、サービスの裏側で働く人たちの文化や暗黙のルールに触れたときの戸惑い。アニメやAVに影響された“理想”と、実際の身体や関係の“現実”のズレ。それから、疑似恋愛にハマっていく心の動きと、その危うさにふと我に返る瞬間。どれも特殊な話のようでいて、読んでいるうちに「あ、自分の中にも似た構造があるな」と気づかされます。 そしてこの本が面白いのは、どれだけカオスな状況でも作者が決して大げさに語らないことです。笑ってしまう描写もあるけれど、そこに安易な教訓やポジティブ変換はなく、ただ淡々と“人間の欲望の実態”が見えてくる。その距離感がむしろ安心するし、自分の中のモヤモヤを変にジャッジせずに眺められるようになります。 性への戸惑いとユーモアの両方を抱えて生きている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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