
創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで (講談社選書メチエ)
松本卓也
講談社 / 2019-03-13
この本について
仕事でも創作でも、何かを生み出そうとするときに「自分の感覚はおかしいのか」「混乱しているだけじゃないか」と不安になる瞬間がけっこうあります。周りの基準に合わせて整えようとすると、かえって自分の思考が平板になっていく感じがして、でも“乱れ”に身を任せるのも怖い。そんな揺れの中にいる人ほど、この本がじわっと効きます。 松本卓也さんの『創造と狂気の歴史』は、古代から現代までの「狂気」と「創造」がどう語られてきたかを丁寧に追うのですが、その歴史を知ることで、自分が抱えてきた“説明のつかないズレ”に少しだけ輪郭が出てきます。たとえば、創造性が「神的な狂気」に宿るという古い発想が、ドゥルーズによってひっくり返され、「人間的な狂気」こそ創造を動かすのだと捉え直される流れ。これは、自分の混乱やノイズをただの欠陥として処理しない視点を与えてくれます。 さらに本書は、ASD的な「ノイズ回避」の構造や、転移、フーコーの“外の思考”まで扱い、私たちが他者性にどう触れ、どう距離を取るのかを説明してくれます。創作でも対人関係でも、「なぜ自分はこう反応するのか」が少し解けて、過剰に自分を否定しなくてよくなる。特に、自分の“歪み”と創造性の関係をどう扱えばいいかで悩んでいる人には深く刺さるはずです。 混乱を整理する本というより、“混乱とどう共存するか”に別の道を示してくれる一冊でした。
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