
測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
ジェリー・Z・ミュラー and 松本裕
この本について
仕事で「数字を追うほど現場が疲弊していく気がする」とか、「評価指標のための作業ばかり増えて、本来見るべきものが見えなくなる瞬間」がありませんか。自分もずっとこのモヤモヤを言語化できずにいたのですが、この本はその違和感を丁寧にほどいてくれました。 特に刺さったのは、測定そのものは悪ではなくても、報酬や懲罰と結びついた瞬間に人の行動がゆがみ始める構造が具体的に描かれているところです。数字が目的を侵食し、測りやすいものだけに時間が吸われていくあの感覚を、「キャンベルの法則」や「グッドハートの法則」を軸に、現場の実例で説明してくれます。さらに、測定のコストや副作用を無視して「透明化すれば正しい」という思考に陥る危うさも、職場での小さな息苦しさと結びつきやすいと思いました。 もうひとつ大きかったのは、測定を排除するのではなく、どこで使い、どこから先は人間の判断に戻すべきかを探る視点が示されているところです。作業者が自分たちのために使うデータと、外から評価や処遇に使われるデータは別物だという指摘は、日々の会議や評価制度の振り返りにもそのまま使えました。 数字に追われながらも「これ、本当に意味あるのか?」と立ち止まったことのある人に静かに響く本です。
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