
エミリの小さな包丁 (角川文庫)
森沢 明夫
KADOKAWA / 2016-04
この本について
最近、どうしようもなく気分が沈む日が続いたり、人の言葉に振り回されて自分の軸がどこにあるのか分からなくなることってありますよね。環境を変えるほどの力はなくても、せめて「今日をどうやって過ごすか」くらいは自分で決めたい。でも、それすらうまくできない日がある。そんなときに、この本に出てくるおじいちゃんの言葉がじわっと効いてきます。 この物語が面白いのは、人生を劇的に変えるような派手な事件が起きるわけじゃないところです。むしろ、主人公が「気分をどう扱うか」をおじいちゃんとの暮らしの中で少しずつ学んでいく感じ。たとえば、世界は変えられなくても、気分だけは変えられるという視点。あるいは、自分の価値を外側に預けないという姿勢。そして、小さないいことを丁寧に味わうだけで、心の重さがふっと軽くなる感覚。このあたりは、保存された抜粋に何度も出てきていましたが、読者がそこに救いを感じたんだろうなと伝わってきます。 読み終わる頃には、「状況が変わらなくても、暮らしの手触りをもう少し自分のものにできるかもしれない」と思える。大きな成功じゃなくて、満足を大事にしていいという考え方も、いまの時代にはすごく優しい。常識という縄から少し解放されて、自分のペースに戻る手がかりをくれる物語です。 自分の気分の扱い方に悩んでいる人に、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
読書の順序
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