
そのうちなんとかなるだろう
内田樹
マガジンハウス / 2025-10-16
この本について
最近、「あのとき別の選択をしていたら、今の自分はもっとマシだったんじゃないか」とか、「理由が説明できる決断ばかり選んで、なんだか身動きが取れない」とか、そんなモヤモヤを抱えている人とよく話します。自分でも似たような迷いに何度もはまってきました。 内田樹さんの『そのうちなんとかなるだろう』は、その迷いを強引に晴らすというより、別の角度から静かにほどいてくれる本でした。たとえば、“あのときこうすべきだった”と思うのは「そうした自分が本当」だと勝手に信じているだけで、実際にそこにいたのは「やらなかった自分」なんだ、という視点。これに触れた瞬間、後悔にぶら下がる力が少し抜けました。また、決断の理由がきれいに説明できる選択ほど慎重になったほうがいい、という話も印象的で、「言葉になる前の違和感」をもう少し信じてもいいのかもしれないと思わせてくれます。 さらに、家事でも仕事でも、疲れさせるのは労働そのものではなく「管理」だという指摘も、日々の息苦しさと妙にリンクしました。何をやるかより、どんな状態でやっているかのほうが人を消耗させる。これは実感としてわかる人が多いはずです。 肩の力を抜いた語り口なのに、読み終わると自分の「固く握っていた前提」が少しゆるむ。そんな本です。今の選択や立ち位置に自信が持てない人、理由を言えない気持ちをつい切り捨ててしまう人には、とくに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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