
「差別はいけない」とみんないうけれど。
綿野 恵太
平凡社 / 2019-07-17
この本について
差別の話題になると、自分は加害していないつもりでも「それも差別だ」と指摘されることがあるし、逆に誰かを批判するときも、本当に自分は安全な場所から石を投げているだけじゃないか…と不安になることがあります。正しさを選んでいるはずなのに、どこか落ち着かない。そんなモヤモヤを抱えたまま日常のニュースを眺めていました。 この本は、その居心地の悪さを「気のせい」で片づけず、言葉の背景にある論理そのものを見直すきっかけをくれました。「差別をめぐる議論は、アイデンティティとシティズンシップという二つの枠組みがぶつかっている」という指摘は、普段なんとなく感じていた“かみ合わなさ”の説明になっていて、読みながら何度もうなずきました。また、誰もが差別を批判できるようになったことで、かえって自分は本当に差別していないのかという問いを失いやすくなっている、という話はSNSの炎上を思い出しながら胸が痛くなります。さらに、差別者を追放して安心しようとする構造を淡々と示されると、自分もその儀式に参加していたかもしれないと冷静になれました。 正義感が空回りして疲れてしまう人、反差別に向き合いたいけれどどう距離を取ればいいか迷っている人には、かなり刺さると思います。感情を煽らず、でも現実から目をそらさずに読める一冊でした。
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