
訂正可能性の哲学
東浩紀
朝日新聞出版 / 20231013
この本について
最近、「正しいはずの言葉が翌日にはひっくり返る」とか、「自分の判断に自信がもてないまま社会の議論に巻き込まれていく感じ」に疲れてしまうことがあります。誰が正しいのかよりも、そもそも“正しさって固定できるのか?”みたいなところで足が止まる、あの感じです。 この本は、その迷いを強引に解消するのではなく、むしろ前提から少し変えてくれます。まず、人間はそもそも中途半端で、解釈も判断も他者によっていくらでも書き換わる存在だという視点に立つ。そこで初めて、民主主義や共同体って「完成した答えを求めるゲーム」じゃなく、誤配と訂正が延々と続くプロセスなんだと腑に落ちてきます。そして、共感や連帯も「大きな理想を掲げること」ではなく、「あなたは苦しいですか」といった、ごく小さな身体レベルの想像力からしか始まらないと知ると、身の丈にあった関わり方が見えてきます。 完璧な規則も、本質も、共通理解もない。それでも続けていくしかない関係性の揺らぎをどう受け止めるか。その“落としどころのなさ”に疲れたとき、一度立ち止まるきっかけになる一冊でした。 自分の意見に自信が持てないまま議論の世界に立っている感覚のある人に刺さると思います。
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