
ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ)
東浩紀
中央公論新社 / 2020-12
この本について
仕事でも創作でも、言葉だけで状況を整理しようとして空回りすることがありませんか。議論は進んでいるのに、現実は動かない。やりたいことはある気がするのに、どれも決めきれない。そんなモヤモヤが続くと、「自分は何を見落としているんだろう」と不安になります。 『ゲンロン戦記』を読むと、そのズレの正体が少し見えてきます。印象や距離感、偶然の出会いみたいな、論理では扱いづらい要素こそが物事を動かしているという視点が何度も語られるからです。言葉と現実の間に必ずズレがあることを前提にすると、オンラインで完結させようとしていた判断も変わりますし、実際に足を運ぶことや、事務のような一見地味な作業の意味も違って見えてきます。さらには、「観客という役割をつくる」という発想が、やりたいことを決めきれない人間にとっても救いになるのだと気づかされました。 派手な成果を求めるより、小さな場を丁寧に回すほうが未来につながる――そんな当たり前のようで難しい態度を、著者自身の失敗や迷いと一緒に追体験できます。成果主義の世界で息苦しさを抱えている人や、「なんとなく全部できそう」と思いながら選べずにいた人には、静かに効く一冊です。
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