
寂聴 九十七歳の遺言 (朝日新書)
瀬戸内 寂聴
株式会社朝日新聞出版 / 2019-11-13
この本について
人と関わることで傷ついたり、過去の失敗がふとよみがえってきたり、どうにも心の整理がつかない日ってありますよね。頭では「時間が解決する」とわかっていても、今この瞬間の苦しさの前では、その言葉が空々しく聞こえることもあると思います。僕自身も、割り切れない感情を抱えたまま日々を回している時期がありました。 瀬戸内寂聴さんの言葉を読んでいて強く感じるのは、「苦しんだ人ほど優しくなれる」という視点を、人生経験の重みといっしょに差し出してくれていることです。傷ついた自分を責め続けるのではなく、その痛みが自分の中にどんな“深さ”をつくってきたのかを見つめ直すきっかけになる。忘れたくないのに忘れていく自分に罪悪感を覚えるような時でも、「日にち薬」という言葉が、時間に身を預けていい理由をそっと与えてくれます。 愛に関する寂聴さんの語りも、きれいごとではないところが救いです。「ほんとは、愛したら愛しっぱなし」という一文は、報われなさを抱えた人にとっては痛いけれど、そのぶん妙に腑に落ちる。見返りを求めてしまう自分も否定せず、ただ“相手の心を想像する”というシンプルな行為に戻してくれるんです。 過去の出来事をなかったことにできない人、忘れられないまま前に進みたい人に静かに効いてくる一冊だと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの63%が集中しています。
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