
日本人は何を考えてきたのか――日本の思想1300年を読みなおす
齋藤孝
祥伝社 / 2016-03-10
この本について
仕事で言葉を扱っていると、「なんで自分の文章はピタッとこないんだろう」とか、「日本語ってそもそもどういうリズムでできているんだっけ」と、じんわりしたモヤモヤが出てくることがあります。使い慣れているはずの日本語なのに、いざ向き合うと正体がつかめないまま手探り、みたいな感覚です。 この本を読んで印象に残るのは、日本語の成り立ちや日本人の感性が、こんなにも身体的で、こんなにも自然なリズムをもっているのだと気づかせてくれるところです。たとえば七五調が「日本語の宿命」とされる理由を、二音の塊というところから説明されると、こちらの感覚が追いついていく感じがあって、無理なく腑に落ちます。それから「もののあはれ」のような古典的な言葉も、抽象的な美学ではなく、はかないものを愛するごく素朴な感情として描かれていて、妙に肩の力が抜けるんです。さらに冬の鵙の一句のように、人がどこまで揺らぎ、どこを境に「人であること」を保とうとするのか、といった感性のラインにも自然と考えが向かいます。 こういう視点を持てると、日々の言葉選びや人との距離感で迷った時に、自分の後ろに長い歴史と感覚の蓄積があるんだと感じられて、変な不安が少し減ります。日本語の奥に流れているものを知りたい人、そして言葉に振り回されがちな自分から一歩引いてみたい人には、とても静かに効く本です。
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