
オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで (岩波科学ライブラリー)
窪薗 晴夫
岩波書店 / 2017-05-18
この本について
言葉を選ぶときに、「なんでこの表現だけしっくり来るんだろう」とか、「説明しづらい感覚を伝えるのが苦手だな」と感じることがよくあります。特に仕事で文章を書くとき、語彙の細かいニュアンスに踏み込めず、もやっとしたまま流してしまうことが僕は多かったです。 この本を読んで驚いたのは、オノマトペが単なる“感覚的な言葉”じゃなく、子音や母音というもっと小さな単位にまで意味の傾向がある、という視点でした。例えば、スッとパッの違いが「滑る」と「張力の破裂」という音声的な仕組みで説明できたり、スクスクとクスクスが同じ音でも順序の違いでまったく別の動きを示したり。なんとなく使っていた言葉に、筋の通った構造があったのかと腑に落ちました。 もう一つよかったのは、日本語のオノマトペがどれだけ“状態”や“心の揺れ”の表現を担っているかが分かるところです。英語は動詞で泣き分けるのに、日本語は「メソメソ」「シクシク」と副詞で情緒を描く。その差を知ると、自分が日頃どんな感覚を言葉に預けているのかが見えてきて、文章に微調整が効くようになる実感がありました。 感覚と言葉のあいだにある小さな橋を知りたい人、あるいは「うまく言葉にできない」を少しでも減らしたい人には刺さる一冊だと思います。
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