
魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く―(新潮文庫)
奥野修司
新潮社
この本について
最近、「合理的に説明できないこと」を心のどこかで切り捨ててしまっている感覚がありませんか。日常では役に立つ態度なのに、喪失や大きな出来事の前では、むしろその“説明のつかなさ”に救われることもある。自分でも矛盾していると分かっていて、それでも割り切れない。この本を読んでいる人の多くは、きっとそんな揺れを抱えている気がします。 『魂でもいいから、そばにいて』は、霊的体験そのものを信じろと言いたいわけではなく、「人がどうやって自分の物語をつなぎ直すのか」をとても丁寧に描いています。合理性が壊れた瞬間に立ち上がる感覚を無視しないこと。科学で説明できないからといって、人間の営みまで切り捨てないこと。そして、語り続けるうちに、悲しみの形が少しずつ変わり、語り手自身がその物語を生き直していくこと。どれも、喪失を経験したときに人が実際に取る“現実的なプロセス”に近いと感じました。 こんなふうに、自分の中で言葉にできない揺れを抱えている人には特に届くと思います。大切な誰かを喪ったあと、「前に進む」という正解だけを押し付けられるのがしんどいと感じたことがある人にも。科学か非科学か、正しいか間違いか、そういう線引きの外側で、人がどうやって生き直していくのかをそっと教えてくれる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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