
白夜行 (集英社文庫)
東野圭吾
集英社 / 2002-05
この本について
人間関係で「相手の本音が見えない」とか、「表に出ている行動だけ追っても、核心にたどり着けない感じ」が続くと、なんとなく心がすり減りますよね。自分の勘は正しいのか、それともまったく見当違いなのか。その曖昧さにずっと付き合わされるような感覚です。 『白夜行』を読んでいて思うのは、まさにその“曖昧さと向き合うしんどさ”を、物語としてじっくり体験させられるところです。読者が保存している抜粋の多くが、人名や場所、細かい描写に散らばっているのは、表向きの出来事の裏で、誰が何をつないでいるのかをつい追いかけたくなるからだと思います。階段を隠す扉や、胸元の開いた黒いシャツの女、雪穂や亮司の周りを行き交う人物たち。すべてが断片のまま差し出されるのに、妙に「そこに何かある」と感じてしまう。理由が説明されないのに、引っ張られる。これは、現実で相手の意図を読み違えるときの感覚に近いです。 この本が効くのは、曖昧なままでも物事は進んでいくし、人はそれぞれの事情で動いているという“視点の持ち方”が自然と身につくところです。何でも因果で説明しようとしないほうが、かえって相手の輪郭が見えてくることもある、と静かに教えてくれる物語です。 「人の心の“ウラ”に触れた時のざらつきを、丁寧に味わいたい人」に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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