
完全な真空 (河出文庫)
スタニスワフ・レム、沼野充義、工藤幸雄、長谷見一雄
河出書房新社 / 2020-01-08
この本について
仕事でも創作でも、アイデアを考えるほど「自分の頭の中が信用できなくなる」瞬間ってありませんか。何か思いついても、すぐに内なる批評家が横から口を出してきて、前に進んでいるのか後ろに下がっているのか分からなくなる、みたいなあの感じです。僕もこのループに入りがちなのですが、『完全な真空』を読んだとき、その感覚が少し整理されました。 この本の面白さは、架空の書物の“内容”よりも、作者レムが用意した二重のレイヤーにあります。虚構の本と、それを評価する虚構の書評家。その距離感のおかげで、観念がじかに押しつけられず、むしろ「自分はいつも創造者と批評者を同時にやろうとしていたのか」と気づかされます。創作や思考に迷いが出たとき、まず距離を置いて眺めるってこういうことかもしれない、と実感しました。そして、ボルヘス評に見られるような辛辣さと尊敬の混ざり方も、他者の作り方を素材にしながら自分の視点を作り直すヒントになります。 自分の頭の中でつねに賛否両論が渋滞してしまう人に刺さる本です。創造と批評のあいだで揺れているなら、一度この奇妙な“幻想図書館”に身を置いてみると、思考の絡まりがほどける感覚があると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの60%が集中しています。
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