
ホワイトラビット(新潮文庫)
伊坂幸太郎
実業之日本社 / 2020-07
この本について
日々、人の言動に振り回されたり、「正しいって何だろう」とか「ルールって誰のためにあるんだっけ」とか、ぼんやり考えてしまう瞬間があると思います。相手にイラッとするのも、自分が我慢しているからこそだったりして、余計に気持ちがこんがらがるんですよね。 伊坂幸太郎の『ホワイトラビット』を読んでいて、保存されていた言葉の多くが“人間の行動原理”に関する部分だったのはすごく分かる気がしました。法や道徳よりも損得が動機になってしまう現実とか、ルールを守ることで安心しつつも、破る人を見ると妙に腹が立ってしまう性質とか。自分でも薄々感じていたことを、登場人物の会話が代わりに言語化してくれるんですよね。 この作品が面白いのは、それを説教っぽく扱わず、立てこもり事件という緊張感の中で“人の内側”がじわっと浮かび上がるところです。正しさに固執すると視野が狭くなることや、誰もが何かの「ふり」をして生きていること。仕事が人生を食いつぶす怪物のように感じられる一方で、それにも支えられてしまう矛盾。こういうモヤモヤを、物語がゆっくりほどいていきます。 「自分の感情や正しさの扱いに迷うことが多い人」は特に刺さると思います。事件の行方を追いながら、人間の仕組みそのものについて少し距離を置いて眺められる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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