
うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 (文春文庫)
先崎 学
文藝春秋 / 2020-07-08
この本について
調子が落ちている時って、朝起きるだけで体が重くて、外に出るのも決心がつかないことがありますよね。気分と体の感覚がバラバラで、「これって自分だけなのかな」と不安になることも多いと思います。そういうときに、この本の言葉がかなりリアルに響きます。 先崎九段が書いているのは、前向きなメッセージではなく、生活がままならなくなった人の“実際の一日”です。起き上がれなくてソファで固まる朝、コーヒーを買いに行くだけの行動を張り紙に書いて自分を動かそうとする工夫、散歩すら怖いのに外に出るとほんの少しだけ気分が変わる瞬間。抜粋を見る限り、読者が刺さっていたのは、この「ちいさすぎる行動の積み重ね」と「回復が波のように揺れながら進む」という部分なんだと思います。 この本は、うつを“気合でどうにかする話”ではなく、生活リズムや散歩のようなごく普通の行動が、どれだけ心の回復に影響するのかを淡々と描いています。良い日と悪い日が混ざり合う中で、少し話せるようになったことを回復の兆しと受け取る感じも、実際に悩んだ経験がある人ほど腑に落ちるはずです。元気になる順番が「楽しさ→嬉しさ」ではなく、「まず嬉しさから戻ってくる」という描写も、個人的にはかなり救われました。 派手な励ましはなくていい、ただ“同じように日々をやり過ごしている誰か”の記録を読みたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
読書の順序
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