
定本 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか 亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ
レベッカ・ソルニット and 高月園子
この本について
日常を生きていると、「人って結局、自分のことしか考えないのでは?」みたいな冷めた気持ちになることがあります。特にニュースで混乱や暴力の話ばかり目にすると、なおさらです。でも同時に、身近な誰かが困っていたら自然と手を伸ばしてしまう自分もいる。そのギャップに、どこか説明のつかないモヤモヤが残るんですよね。 『災害ユートピア』は、その感覚に静かに輪郭をつけてくれました。大きな災害の現場では、一般的なイメージと正反対に、多くの人が利他的になり、見知らぬ人同士が助け合う──この事実を丁寧に追いかけています。一方で、恐怖や誤解から「市民を危険な存在だ」と決めつけ、人命よりも“物の保護”を優先してしまう権力側の姿も描かれます。災害そのものではなく、社会構造や思い込みが被害を深刻化させるという指摘は、読みながら何度も胸が詰まりました。 自分たちがどんな状況で、どんなふうに連帯し、どこでそれが失われるのか。本書はその変化の瞬間を具体的な証言で示してくれます。人間不信に寄りかかりそうなとき、「本当は別の可能性があるのかもしれない」と思わせてくれる一冊です。 「人と社会の“本性”について、決めつけすぎない視点を持ちたい人」に届くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
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