
世界哲学史 別巻 (ちくま新書)
伊藤邦武、山内志朗、中島隆博、納富信留
筑摩書房 / 20201209
この本について
最近、「自分の感情ってどこまで信用していいんだろう」とか、「理性的に判断したいのに、心が先に暴れる」といったモヤモヤを抱えている人とよく話します。私自身もそうで、感情と理性の距離感がうまくつかめずに、同じところをぐるぐる回ってしまう時期がありました。 この『世界哲学史 別巻』を読んで少し変わったのは、感情や理性を“整えるもの”としてではなく、“人間がどう向き合おうとしてきたか”という長い試行錯誤の流れとして見られるようになったことです。たとえば、動物の情念はすべて美しいのに、人間の情念は醜い、だからこそ修正できるというジェルソンの議論を読むと、「感情に振り回される自分」も特別ダメなわけじゃなく、むしろ人間の標準装備なんだなと落ち着きます。また、理性にべったり不安が貼りついているという坂部恵の指摘に触れると、理性的に振る舞えない日があっても、それは理性そのものの宿命なんだと腑に落ちました。 さらに、怒りの反対は存在しないと考えるトマスと、「怒りの反対は慣れだ」と言い切るロマヌスの対比を読むと、感情の扱い方に「唯一の正解」がないことがはっきりします。自分の感じ方や捉え方にもっと幅を持たせてもいいんだ、と素直に思えるんです。 感情と理性の折り合いがうまくつかず、ずっと自分だけが不器用なんじゃないかと思いがちな人に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの75%が集中しています。
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