
マンガ人類学講義 ボルネオの森の民には、なぜ感謝も反省も所有もないのか
奥野克巳 and MOSA
この本について
仕事でも日常でも、「目の前の出来事をどう捉えればいいのか」がよく分からなくなる時があります。事実を整理しているつもりなのに、言葉や前提の枠に自分が縛られている気がするというか。まとまらない違和感だけが残るあの感じ、けっこうしんどいですよね。 この本を読んでいて、保存されていた抜粋がまさにその部分に刺さったのだろうなと思いました。文字による人類学が抱えてきた思考の枠を、ルーシュが映像表現であっさり越えていった話。妖術の現実を民族誌ではなく物語として書くという方法。そういう“形にしにくい現実”に向き合う時、どの表現を選べばいいかという問いそのものを、この本は扱っています。誰かの暮らしや価値観を理解するつもりが、いつの間にか自分の前提を反省させられる、あの静かな揺さぶりが続きます。 読んでいて効いたのは、まず「人はそもそも同じ現実を見ていない」という諦めにも近い前提を置けるところ。それから、多種多様な存在との関わりをどう記述するかというマルチスピーシーズ的な視点が、自分の生活にもじわじわ響いてくるところ。そしてもう一つ、観察よりも“どんな形式で語るか”が思考そのものを変えるという指摘です。これは仕事の資料づくりでも人間関係の理解でも、一度意識すると戻れません。 自分の見ている世界の切り取り方にモヤモヤしている人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
読書の順序
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