
自由意志の向こう側 決定論をめぐる哲学史 (講談社選書メチエ)
木島泰三
講談社 / 2020-11-12
この本について
「自分の選択って、本当に自分で決めてるのか?」みたいなモヤモヤ、仕事で判断を迫られたときほど頭をよぎります。遺伝子や脳に全部決められていると言われると、なんとなく自分が薄まったような気もしてくる。僕もその違和感を放置したまま動いていた時期がありました。 この本は、そうした不安にいきなり答えを投げるのではなく、何百年も前から続いてきた「自由」と「決定」の考え方を一度ざっと並べてくれます。たとえば運命論と決定論がどこでズレるのか、デカルトがなぜ心だけは機械から外したのか、ストア派がどうやって主体性を説明したのか。歴史をたどることで、いま自分が感じている不安の“位置”が少し見えるようになるんです。 読んでいて意外だったのは、「人間固有の特別さ」を前提にしなくても、人間を語る方法はあるという視点です。目的論と因果論を無理に切り分けても前に進まない、という著者の姿勢は、日常の判断で立ち止まったときの拠りどころにもなる気がします。 自分の意思や行動の“説明の仕方”にモヤっとしている人、そして科学の話を聞くと不安になるけれど否定したいわけでもない人には、とても落ち着いて読める一冊だと思います。
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