
騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(下)―(新潮文庫)
村上春樹
Shinchosha/Tsai Fong Books / 2019-03
この本について
最近、物事の「本当」を見極めようとして逆に迷子になることがありませんか。客観で判断したつもりなのに、どうしても主観が揺れてしまう感じとか、知らない方が楽なんじゃないか…とふと立ち止まってしまう瞬間とか。僕もけっこうそこでもがくタイプで、この本を読んだとき、その揺れそのものを抱えたまま進むしかないんだよなと、妙に腹落ちしました。 『騎士団長殺し』の抜粋を見ていると、多くの人が「現実と非現実の境目が動く」という感覚に反応している気がします。普段の生活でも、自分の解釈と事実の境界がにじむことってありますよね。この物語はその曖昧さを否定せず、むしろ注意深く付き合う姿勢を促してくれます。何かを知ろうとする行為が、必ずしも自分を救うとは限らないという視点も、変に強がらずにいられるポイントでした。日当たりのいい側を選んで歩く、そんなシンプルな姿勢に戻れるのも、この作品の効き方のひとつだと思います。 自分の中の「たが」が外れそうなとき、立ち止まり方がわからない人には特に刺さるはずです。物語そのものを追うというより、自分の感情の揺れをそっと点検するような読み方ができる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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