
新時代の江戸前鮨がわかる本
早川光
ぴあ / 2021-03-31
この本について
鮨屋に行くたびに、「どう頼めばいいんだろう」「酒は合わせたほうがいいのか」「そもそも今の鮨って昔と何が違うのか」とモヤつくことがありました。おいしい経験をしたいのに、暗黙のルールや“通”の世界に気圧されてしまう感じ、けっこう多いと思います。僕もその一人でした。 この本は、そんな不安を無理にかき消すのではなく、今の鮨文化がどう変わってきたのかを丁寧に教えてくれます。たとえば、2010年代からおつまみが一気に増えた背景には、日本酒との組み合わせを細かく考える職人が増えたことがあるとか。刺身を切って出すだけでは成立しなくなり、つまみと酒の“組み立て”が店の個性になっていった流れが言語化されています。また、言葉がわからなくても頼める「おまかせ」が、実はお客と職人の距離を埋めるための工夫として生まれた歴史など、知っているだけで気持ちが軽くなる話が多いです。 ウニの加工業者や地酒の造り手など、裏側で鮨を支える人たちの名前が出てくるのも良くて、“鮨を食べる”という体験の奥にある目に見えない努力まで想像できるようになります。結果として、店に行くときの構えが少しほぐれ、「今日はこう楽しんでみよう」という選択肢が増える感覚がありました。 鮨屋に行くと緊張してしまう人、もしくは「もっと気楽に楽しめるようになりたい」と思っている人には、静かに刺さる本だと思います。
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