
日本の家 (角川ソフィア文庫)
中川 武
KADOKAWA / 2015-10-24
この本について
住まいのことを考えるとき、「なんとなく窮屈」「便利になったはずなのに落ち着かない」というモヤモヤを抱えることがあります。間取りの工夫とか家具選びで解決しようとしても、どこか芯をつかめないまま時間だけが過ぎる感じがあります。僕も同じで、暮らしの土台みたいなものを言語化できないまま過ごしていました。 『日本の家』は、その“芯”を静かに掘り起こしてくれる本でした。三和土のざらっとした質感が生む両義性や、上がり框が境界をどうつくるか、土間が外と内の間にどんな濃淡を置いていたか。こういう具体的な部材や素材の話が、実は住む側の意識やふるまいを形づくっていたことに気づかされます。自由に見える今の住宅が、むしろ画一的な意識を強めているのでは、という指摘にもドキッとしました。 読み終えると、「失われたものを惜しむ」というより、「自分が何に落ち着きを感じるのか」を見極める土台が少しだけ整います。暮らしを大きく変えなくても、玄関のしつらえや外とのつながりをどう扱うか、具体的に考えるきっかけになるはずです。 昔の家が好きな人だけでなく、「住まいの違和感の正体を知りたい人」に静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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