
彼女は頭が悪いから (文春文庫)
姫野 カオルコ
文藝春秋 / 2021-04-06
この本について
人と関わるとき、どこまで踏み込んでいいのか分からなくなる瞬間ってあります。場を白けさせたくなくて曖昧に笑ったり、言いたいことが喉まで出ているのに言えなかったり。あとで「あれ、私ってどう見られてるんだろう」と気になってしまうあの感じです。 『彼女は頭が悪いから』は、そういう“自分の立ち位置に迷うときの息苦しさ”を、物語の中でとことん可視化してくれます。読んだ人が保存していた場面を見ると、恋愛で曖昧な質問しかできないもどかしさや、知識マウントの空気に耐えるしかない瞬間、そして「分際をわきまえる」ことで身を守ってしまう自分へのやりきれなさ……そのあたりに強く刺さっているように思います。物語は重たいのに、妙に「わかる」とつぶやきたくなる細部が多いのがこの作品の特徴です。 読んでいてしんどさもありますが、同時に「なぜ私はあの場で固まってしまったんだろう」とか、「なぜあの言葉を飲み込んでしまったんだろう」といった、普段は直視しない自分の反応を少し客観的に見られるようになります。美咲の選択を追っていくと、環境や力関係の中で人がどう振る舞わざるをえなくなるのか、その現実味が静かに積み上がっていきます。 自分の弱さや迷いをごまかさずに向き合いたい人には、かなり刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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