
#真相をお話しします(新潮文庫)
結城真一郎
新潮社 / 2022-06-30
この本について
日常のどこかで「この人、本当のところはどう思ってるんだろう」とか、「言葉の裏を読みすぎて疲れるな」と感じること、けっこうありますよね。僕も人間関係が複雑になるほど、相手の表情や声色の“微妙なズレ”が気になってしまうタイプです。 結城真一郎さんの『真相をお話しします』を読んで刺さったのは、まさにその“違和感の扱い方”でした。読者が保存していた抜粋の多くも、登場人物のちょっとした動きや、交互に視線をやりながら「どっちだ?」と探る場面など、日常のワンシーンに潜むザラつきを捉えた部分なんですよね。これが単なるスリルではなく、自分の生活の延長として読めてしまうのが、この短編集の特徴だと思います。 物語を追っているうちに、普段の会話でも「その場の空気に流されているだけなのか」「誰かが何かを隠しているのか」といった感覚の精度が上がる感じがあります。どの話も特別な舞台ではなく、パパ活、リモート飲み会、中学受験……と、いまの社会でよく目にする現実からズレていないのに、最後に必ず床が抜ける。しかも、その“抜け方”が極端すぎず、理屈の上で理解できてしまうのが怖いところです。 人の言葉をそのまま信じたいけど、どこかで踏みとどまる必要もあるよな……と感じている人にはとても刺さるはずです。読後に「自分の身のまわりにも伏線ってあるのかも」と思えてくる、そんな一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
読書の順序
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