
京大 おどろきのウイルス学講義 (PHP新書)
宮沢 孝幸
PHP研究所 / 2021-04-15
この本について
コロナの流行が一段落した今でも、「結局ウイルスって何なんだろう」とか、「専門家の意見が割れる理由がわからないまま不安だけ残っている」という感覚、けっこう残っていませんか。自分もずっとそのモヤモヤが取れず、ニュースを見るたびに解像度の低さを感じていました。 この本が面白いのは、不安を煽るでも楽観するでもなく、「そもそもウイルスとはどういうものか」を現実的なスケールで見せてくれるところです。たとえば、風邪のコロナが50年以上当たり前のように共存してきた話を読むと、コロナ禍を“特別な出来事”として見る視点が少し揺らぎます。また、海水1mlに数百万〜1億個のウイルスがいるという話や、霊長類にまで感染を広げたイヌジステンパーウイルスの例など、「世界はもともとこういう複雑さの上に成り立っているんだな」と腹落ちします。 さらに読んでいて意外だったのは、レトロウイルスが胎盤形成や初期化に関わっているという部分。ウイルス=ただの脅威という思い込みが外れると、生物としての人間のイメージが一段深くなる感じがあります。「選択と集中をしてはいけない」という研究の話も、日本の議論を眺めているだけでは決して出てこない視点でした。 ニュースの断片だけでは世界が雑に見えてしまう人、あるいは「ウイルスとの付き合い方を現実的に知りたい人」に静かに刺さる本だと思います。
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多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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