
往復書簡 限界から始まる (幻冬舎単行本)
上野千鶴子 and 鈴木涼美
この本について
最近、過去の選択や親との距離感、自分の性や愛の扱い方について「これで良かったんだっけ」と立ち止まる瞬間が増えた気がします。強く振る舞ってきたつもりでも、ふとした拍子に自分の中の痛い場所をつかまれることがある。誰にも説明できないまま抱えてきた違和感って、けっこうありますよね。 『往復書簡 限界から始まる』は、その“言葉にしづらい領域”を、二人の対話が少しずつ照らしていく本でした。母に向けられていた懸念を自分の身を通して後から理解してしまう感覚や、「自立」や「性」を自分の観念で無理に統制してきたことへの気づき。さらに、傷を過小評価も過大評価もできず、正確な形をまだ掴めていないときのあの居心地の悪さまで、妙にリアルに言語化してくれます。読んでいて突然“あ、そこ触れるんだ”と息をのむ場面が多かったです。 読み終わったあと、自分の限界をただの欠点として見るのではなく、「ここから先の振る舞いをどう作り直せるか」という視点に少しずつ変わっていく感じがありました。他者との関係に期待しすぎたり、逆に突き放しすぎたりする癖にも、なぜそうしてしまうのか思い当たるところが出てきます。 自分の傷や選択の意味を、もう少し丁寧に言葉にしたいと思っている人には、とても静かに刺さる本だと思います。
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