
ミッドナイト・ライブラリー (邦訳版:The Midnight Library)
マット ヘイグ、浅倉卓弥
ハーパーコリンズ・ジャパン / 2022-02-09
この本について
ときどき、過去のどこか一つをやり直せていたら今は違っていたんじゃないか、そんな想像ばかりしてしまうことがあります。比較するつもりはなくても、別の自分を思い浮かべてしまって前に進みにくくなる時期って、誰にでもあると思うんです。 『ミッドナイト・ライブラリー』を読んでいて感じたのは、「後悔そのものが問題なのではなく、後悔に縛られ続けてしまうことが苦しさを作る」という視点でした。抜粋にもありますが、決断は些細なことの積み重ねで、もし違う選択をしていたら別の人生があったかもしれない。でもその“もし”を無限に思い描けるからこそ、今の自分がダメだという証拠にはならない、とこの本は静かに示してくれます。 そしてもう一つ大きかったのは、「完璧な人生は存在しないけれど、生きるに値する人生なら複数ありえる」という感覚です。主人公がさまざまな人生を試すなかで、悲しみも失敗も“どの人生にもセットでついてくるもの”として受け止め直していくところが、自分の生活にもそのまま置き換えやすいんですよね。 過去に囚われてばかりで足が止まりやすい人、あるいは“これじゃない”という感覚だけが残っている人には、特にしっくりくる本だと思います。 派手な気づきをくれるというより、呼吸が少し深くなるような、そんな読み心地でした。
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