
ここはすべての夜明けまえ
間宮 改衣
早川書房 / 2024-03-06
この本について
過去のことを思い出すたびに、あのとき別の選択ができたんじゃないか、とぐるぐるしてしまうときがありますよね。忘れられたら楽なのに、忘れたら自分じゃなくなる気もして、どこにも行き場がなくなる感じ。僕も仕事でも日常でも、こういう「どうしようもなかったこと」の扱いにずっと悩んできました。 『ここはすべての夜明けまえ』が刺さるのは、過去を都合よく書き換えられる世界なのに、登場人物たちがそれを選びきれずに立ち止まるところです。記憶を調整すれば幸せになれると言われても、本当にそれでいいのかと迷う姿が、読者の抱えるモヤモヤにそのまま重なります。自分のせいで誰かを傷つけたかもしれないという痛みを、消すでも贖うでもなく「ただ見つめる」という態度が提示されるのも、この物語の現実的なところだと思いました。また、人生には感想戦のように後から振り返っても「打てない手」があるという視点が、後悔のループにちょっと風を通してくれます。 誰かを救う方法がわからなくて、自分すら救えていない気がしている人にとって、この本は派手な答えをくれるわけではないけれど、立ち止まっている自分を否定しないでいられる場所をそっと作ってくれます。こんな本を必要とする人は多くないかもしれないけれど、いま苦しい誰かには深く届くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
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