
リピート (文春文庫)
乾 くるみ
文藝春秋 / 2007-11-10
この本について
過去の選択をやり直せたら、もう少しマシな人生になっていたんじゃないか。取り返しのつかない失敗が、今もずっと頭の片隅に残っている。そんな気持ち、けっこう誰でも抱えていると思います。僕もそうで、「もしあのとき違う返事をしていたら…」みたいな想像をついしてしまうタイプです。 『リピート』を読んでおもしろいのは、「やり直し」が必ずしも都合よく回らないところです。登場人物たちは未来を知った状態で過去に戻るのに、それでもまた別の分岐に巻き込まれていく。自分の些細な行動が、まわりの人の生死まで揺るがしてしまう。しかも「知っているはずの未来」が、微妙に違っていく。そのズレがだんだん怖くなって、読みながら自分の選択についても考えざるを得なくなりました。 特に刺さったのは、主人公の「人生を変えたい」という願いが、必ずしも立派な目標から出ていないところです。初体験の失敗をやり直したいとか、告白を断られた後にもう一度向き合いたいとか、一見ちっぽけに見える気持ち。でも実際の人間って、そういう本当に小さな引っかかりが心に残ったりしますよね。そのリアルさが、この物語の怖さと優しさを同時に支えている気がします。 「もし戻れたら、自分は何を変えたいんだろう」と一度でも考えたことがある人には、この本は深く刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの63%が集中しています。
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