
ライオンのおやつ
小川糸 and くのまり
ポプラ社 / 2019-10
この本について
最近、気づいたら「ちゃんと生きてる気がしないな」と思う瞬間が増えていませんか。毎日は流れていくのに、自分の感情には向き合えなかったり、誰かに合わせてばかりで、本当に大事なことが分からなくなったり。僕もよくそこで足が止まります。 『ライオンのおやつ』が響くのは、立派な答えをくれるからではなく、「小さな幸せって、本当はこんな形だったよね」と思い出させてくれるからだと思います。たとえば、体と心が連動して軽くなる感覚とか、学生時代に食べた一個のカヌレの記憶が急に胸の奥を温めてくれる瞬間とか。あるいは、誰かの光になろうと無理をする前に、自分の痛みをちゃんと扱っていいんだと教えてくれる場面とか。どれも特別なことではないのに、読みながら「ああ、これでよかったんだ」と少し呼吸が深くなるんです。 もうひとつ、この本の強さは「今だけを見る」という視点が、説教臭くなく、すごく現実的に描かれていることだと思います。過去でも未来でもなく、息を吸って吐くその一瞬に意識を戻せたら、世界の色が少し変わる。そんな変化を、登場人物のささやかな行動で実感させてくれます。 日々の暮らしの中で、自分の感情を後回しにしがちな人にこそ、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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