
裏世界ピクニック7 月の葬送 (ハヤカワ文庫JA)
宮澤 伊織
早川書房 / 2021-12-16
この本について
人と向き合う場面で、自分でもよく分からない違和感にぶつかるときがあります。誰かの言葉に妙にざわついたり、指摘されて初めて「自分の立っている場所」が曖昧だったと気づいたり。日常の中でそんな揺れを感じること、多くないでしょうか。 『裏世界ピクニック7』の抜粋を読んでいて、一番刺さるのはまさにその“曖昧な自分”と向き合わされる瞬間だなと思いました。他者を研究するはずが、自分の動機の濁りが浮かび上がってしまう感じや、軽口だと思っていた言い回しが相手には別の形で届いてしまう場面。裏世界という非日常のはずなのに、私たちの生活にそのまま流れ込んでくるリアリティがあります。 この巻が効いてくるのは、まず「自分がどんな前提で物事を見ているか」をそっと照らしてくれるところ。教授の言う“基準点としての自分は無色透明ではあり得ない”という指摘は、仕事でも人間関係でも避けて通れない視点だと思います。さらに、社会の枠から少し踏み外した彼女たちが“口約束しか頼れない”と言い切る場面は、自分の立ち位置が不安定なときほど響くはずです。強がりでも合理性でもなく、それでも関係をつなごうとする感覚が、妙に現実的なんですよね。 人との距離感や、自分でも説明しきれない動機にモヤモヤしている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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