
裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)
宮澤 伊織
早川書房 / 2017-02
この本について
仕事や日常に追われていると、ふと「この世界以外に抜け道みたいな場所があったらな」と思うことがありませんか。逃げたいわけじゃないけど、全部を真正面から受け止めるのに疲れる瞬間ってありますよね。そんな気分に触れるように、この作品の抜粋を見ていると、読者が惹かれているのは怪異そのものよりも、“現実と地続きのまま別の世界に足が滑り込む感じ”なんだろうなと思います。 裏世界が「人間の語る怪異の文脈に則って現れる」という一文は、理解できる形でしか未知は迫ってこないという、妙に現実的な感覚をくれます。急に超常へ放り出されるんじゃなく、神保町の書店やホットコーラといった日常の手触りのまま、気付けば向こう側に立っている。その距離感が、不思議と自分の生活にも置き換えやすいんです。また「生きていると感じるあらゆる面倒くささから逃げられる秘密の世界」への誘惑が描かれる一方で、怖さや違和感はきちんと残しておく。その塩梅が、逃避ではなく“視点の切り替え”として効いてきます。 大げさに人生が変わる本ではないけれど、現実のしんどさを抱えたまま別アングルで世界を眺めたいとき、そっと寄り添ってくれる物語です。日常の中に薄い膜のような非日常を感じたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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