
失われた未来を求めて
木澤佐登志
大和書房 / 2022
この本について
最近、社会の空気に飲まれている感じが抜けない、という声をよく聞きます。自分で選んでいるようで選ばされている感じや、「努力すれば何とかなる」という物語に乗れないときの居心地の悪さ。僕自身も、そのモヤモヤに長くひっかかっていました。 『失われた未来を求めて』は、その違和感をそのままの形で置いておける本でした。抜粋にもありますが、個人の責任に回収されていく社会の構造や、カウンターカルチャーがどこで変質していったのか、といった歴史の流れが具体例とともに描かれています。読むと、今の自分の感覚が「自分だけの問題」ではなく、連続した背景の上にあるんだと少し落ち着きます。また、フィッシャーが語る「再帰的無能感」の説明は、なんとなく抱えていた疲れの正体に輪郭を与えてくれるはずです。 さらに、ニューエイジやポジティブ・シンキングへの移行を追う章は、僕にとっては「どこで現実とフィクションの境目がぼやけたのか」を考えるきっかけになりました。努力論や精神論だけで説明される世界に息苦しさを感じていた人には、視点をずらす助けになると思います。 社会の変化を大きな話としてではなく、「いま自分が立っている場所の背景を知りたい人」に静かに刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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