
ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた (角川学芸出版単行本)
斎藤 幸平
この本について
日々働いていると、努力すれば報われるとか、自己責任だとか、そんな言葉にうっすら違和感を覚える瞬間があると思います。環境や運だけで左右されることが多いのに、なぜか「頑張りが足りない」と片づけられてしまうあの感じです。自分の生活の中のモヤモヤを言語化しきれずに抱え込んでしまう人も多いはずです。 この本は、そうした個人の悩みを社会の構造にまでつないで考える視点をくれるところが魅力でした。たとえば、できる努力の幅自体に格差があるからこそ「個人ではなく社会側を変える必要がある」という指摘は、自分の無力感の意味をもう少し広い視野で捉え直す手がかりになります。ギグワークの虚無感や、ファッション産業の裏側、再エネや地方の分断の問題など、普段は切り離して考えてしまいがちな出来事が、一本の線でつながって見えてくる感覚もありました。そして著者が実際に現場に足を運ぶからこそ、抽象論ではなく「誰が何に苦しんでいるのか」が立体的に伝わってきます。 正しさを振りかざすための本ではなく、自分の特権や思い込みをいったん脇に置き、別の視点で世界を見直すための“きっかけ”に近い一冊です。社会のことを考えたいけれど、抽象論だけでは腑に落ちないという人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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