
「最前線の映画」を読む Vol.3 それでも映画は「格差」を描く(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)
町山智浩
この本について
最近、「努力して働いているはずなのに、なんでこんなに暮らしが不安定なんだろう」とか、「自己責任って言われても、どうにもならないこと多くない?」みたいなモヤモヤを抱えている人、多い気がします。僕自身も仕事や生活を回しながら、社会の仕組みと自分の無力感のあいだで揺れることがよくあります。 この本は、そんな感覚を“なんとなくの違和感”から“言葉としてつかめるもの”にしてくれる一冊でした。格差が広がった理由が、個人の怠慢ではなく政策の積み重ねにあること。貧困が生まれる構造のなかで、子どもに責任なんてありようがないこと。そして、市民社会が「普通に働けば普通に暮らせる」という前提の契約で成り立っていたはずなのに、その前提が崩れている現実。どれも知識というより、胸の奥で「そうだよな」と静かに腑に落ちる感覚があります。 また、ノマドの章では「家がない」のではなく「旅の途中」という視点の転換が描かれていて、単なる経済の話だけでは届かない、人の痛みや回復の話としても読めます。社会の構造と個人の葛藤、そのどちらにも光を当ててくれるのがこの本の強さだと思います。 社会の不公平さに息が詰まるけれど、ただ怒るだけでは終わらせたくない人に刺さるはずです。
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