
死にゆく者の祈り(新潮文庫)
中山七里
新潮社 / 2022-03-28
この本について
日々、人の善悪や責任の境目が分からなくなったり、「この判断って本当に正しいのか」と胸のどこかがざわつくことがありませんか。誰かを救おうと動くほど、その裏で別の誰かを傷つけている気がして、正解のない場所に立たされているようなあの感じです。僕自身も仕事で判断を迫られるたびに、割り切れなさを抱えたまま過ごすことが多いです。 『死にゆく者の祈り』は、その割り切れなさから目をそらさずに向き合う物語でした。僧侶や弁護士が語る「人間の弱さ」や「善の裏にある悪」の感覚が妙にリアルで、読んでいて何度も立ち止まります。たとえば、迷っている相手には自分の疑念を見せず、肯定する役割を背負う僧侶の姿に、人を支えるってこういう矛盾を呑み込むことなんだよな、と気づかされました。また、死刑囚に寄り添うことが被害者遺族を再び傷つけるという指摘は、正しさと優しさが同時に成立しない場面が世の中には確かにあると実感させられます。 結局、登場人物たちも聖人ではなく、弱さを抱えたまま選択しています。その不完全さが、こちらの曖昧さとどこか地続きで、読後に少しだけ肩の力が抜けました。自分の判断に絶対の答えを求めすぎなくていいのかもしれません。 正しさと迷いの間でもがいている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
読書の順序
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